サトイモ(里芋)は東南アジアの熱帯が原産で、タロイモの仲間です。食べる部位によって親芋用、子芋用、親子兼用がありますが、当菜園では子芋用を育てています。
サトイモ栽培においては、追肥と土寄せと水やりがとても重要で、これらを疎かにすると十分な収穫ができません。しかし、一番暑い時期の追肥と土寄せ、更には除草までを完璧にするとなると、趣味で家庭菜園をしている私たちにとっては負担がとても大きく、苦痛になってしまうほどのものです。
そこで今回は、できるだけ負担を減らし、まずまずの収穫を見込めるマルチシートを使った栽培方法を紹介したいと思います。
サトイモ栽培の基本データ
サトイモを栽培するときに参考とする基本データを表にまとめています。
科目 | サトイモ科 |
土壌酸度(pH) | 6.0~6.5 |
連作障害 | あり(輪作年限3~4年) |
発芽地温 | 15℃以上 |
生育適温 | 25~30℃ |
株間 | 45cm |
種イモの植え付けから収穫までの期間 | 約6か月 |
サトイモ栽培のスケジュール
サトイモの栽培スケジュールを表にしています。
従来の栽培方法では、追肥は2回,土寄せは3回ほど実施しますが、どちらも1回のみです。
これは兵庫県姫路市での栽培スケジュールです。栽培スケジュールは、地域や品種によって変わってきますので参考程度としてください。
サトイモの育て方
種イモの準備
サトイモの栽培を初めてスタートするときは、ホームセンターなどで種イモを購入することになります。しかし2年目以降は、前年に育てたサトイモを種イモとして使用します。
4月頃、収穫せずに畑に残しておいたサトイモを掘り起こします。芽が欠けてるものや傷のあるものを避けて、できるだけ丸くてふっくらとしているものを選びます。
土づくり
植え付けの1~2週間前に、畑に堆肥と石灰と肥料を施し、よく耕しておきます。そのあと、地温を上げるのと草の発生を防止するためにマルチシートを張っておきます。
堆肥 | 醗酵鶏ふん | 1㎡あたり約2kg |
石灰 | 有機石灰 | 1㎡あたり約100g |
肥料 | 化成肥料8-8-8 | 1㎡あたり約100g |
種イモの植え付け
マルチシートを切り、植え付けるための穴を掘ります。従来の栽培方法では深さは10cm程度ですが、土寄せの回数を減らすため20cmの穴を掘ります。
そのあと種イモを芽が上になるように真っすぐに植え付け、土を被せます。
芽かき
植え付けから1か月ぐらい経過すると、茎・葉が生長して草丈20cm程度までなります。さらに梅雨明けの頃になると、50cm程度まで大きく育ちます。
この間、株の周りに出てくる脇芽は発見したら地際から切り取っていきます。そうすることによって子芋が大きく育ちます。
追肥および土寄せ
7月の中旬~下旬頃に追肥と土寄せを行います。
マルチシートを中心線に沿って切っていき、株の周りに追肥をします。1株あたり鶏ふん約100g,化成肥料約100g程度を施します。
そのあと、株元に土を寄せます。10cmくらいは寄せたほうが良いと思います。
水やり
梅雨が明けて最も暑い時期になると、水やりが必要です。サトイモは他の作物と違い、乾燥して葉が枯れると立ち直れず収穫量が大きく減るので、とても重要な作業です。
収穫
10月下旬ごろになると、葉が枯れてきますので収穫時期となります。茎葉を地際で刈り取り、株周りの土を丸く除いた後、備中ぐわで掘り起こします。
サトイモは、親芋の側面に子芋ができ、更に子芋の側面に孫芋ができます。できるだけ孫芋ができるのを防止し、子芋を太らせるのがポイントとなります。そのためには、生長初期の段階から脇芽を欠いていくことが重要です。
続いて、親芋から子芋,孫芋を分離し収穫完了です。
収穫したサトイモは、土をつけたまま常温で保存します。
越冬方法
従来の栽培方法では、サトイモを株ごと掘り起こし、あらかじめ畑の隅に掘っていた穴に、株を上下逆さまにした状態で入れ、周りにもみ殻などの保温材を詰めてワラやビニールシートで蓋をする方法がとられています。この作業がかなり重労働であるため、簡易的な越冬方法で行っています。
畑にできたサトイモを、種イモとして必要な分だけ収穫せずにそのまま残しておきます。寒くなったら茎葉を取り除き、土を盛ってカーペットなどで覆います。
温暖な地域なので、この方法で腐ることなく越冬できます。そして来春また種イモとしてサトイモ栽培がスタートします。
サトイモの簡易栽培のポイント
今回の栽培方法のポイントは、
- 黒マルチシートを使用する
- 種イモの植え付けは深さ20cm程度
- マルチシートの中央を切って追肥と土寄せをする
- できたサトイモを畑に残したまま越冬させ、次の種イモとする
これで負担がだいぶん軽減されると思います。是非やってみてください。
コメント